【書評】『競争優位の終焉』〜変化しないと終わる〜 著:リタ・マグレイス
どうもコンサルタントのRyuです。
今回は、コロンビア大学ビジネススクール教授のリタ・マイグレイスが書いた『競争優位の終焉』について紹介していきます。
リタ・マグレイスは不確実で不安定な経営環境における戦略の権威として世界的に高く評価されています。GEやコカ・コーラなどの企業のコンサルティングも行っています。Thinker50の「経営思想において最も影響のある20人」や「Twitterでフォローすべきビジネススクール教授10人」に選ばれています。
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はじめに
現代の企業は競争優位性を持続させようと考えても自分たちの強みの賞味期限はすぐに切れてしまいます。
著者のマグレイスは「競争優位性が持続する時代は終わった。一時的な競争優位性を獲得し続けることが必要である」と言っています。
マグレイスは世界の時価総額10億ドル以上の上場企業5000社から、持続的に成長している10社を選択して分析していました。その中で6つのポイントを発見しました。
ポイント①:安定性とスピードを兼ね備え、常に変わり続ける
10社は安定性とスピードを兼ね備え、常に変わり続けている。これは矛盾していると思うかもしれませんが達成できる能力です。
一貫性がありながら安定するには、
①高い目標と明確な戦略
②社内で共通の価値観を醸成している
③社員の教育に力を入れ
④戦略を容易に変えないこと
⑤パートナー企業との連携を安定させる
また、スピード感を保ちながら変わり続けるためには
①変革は小さな積み重ね
②部門ごとに経営資源を滞留させない
③戦略と経営資源の配分を四半期ごとに見直し
④イノベーションに挑戦し続ける
⑤新事業をスモールスタートさせる
この2つが相乗効果を生み出している。
ポイント②:衰退の前兆を見極め、撤退する
富士フイルムは名前の通り昔は写真フィルムにこだわって販売していました。
しかし、富士フイルムは市場衰退の前兆をつかんで、新事業を立ち上げて取り組み成功しました。
事業衰退の前兆はアンテナを張り巡らせばすぐに見つかるが、日々の業務に忙殺され虫の目になっているとなかなか見つからないこともあります。
自社製品を脅威にさらす新技術の情報を収集し、すぐに対応することが重要です。
ポイント③:資源配分を見直し、効率性を高める
写真フィルムの市場撤退を決めた富士フイルムは、経営資源を集約する一方で、自社が持つ技術を洗い出し、新材料やヘルスケアなどの新事業に大胆に投資した。
このように、経営資源を、衰退事業から成長市場へとシフトすることが必要です。
ここで大きな障害となるのが、部門制です。部門が経営資源を抱えてしまうとスピード感のある経営資源シフトが行えなくなる。経営資源は本社管理に変える必要があります。
ポイント④:イノベーションを観察する
新しい事業を立ち上げるためには、イノベーションは欠かせないファクターです。
世の中で発生するイノベーションがどう生まれたのかを観察し、仕組みづくりをする。
大切なのは、失敗を避けるのではなく、実験することです。実験を繰り返してイノベーションを生み出すというふうに考え方を変えなければなりません。
ポイント⑤:考え方を変える
競争優位性がすぐに塗り替えられてしまう昨今のビジネス環境では、変化をより早く察知することが需要です。
問題や負の兆候を先延ばしにするほど損失は拡大してしまいます。そのため、リーダーはトレンドを素早く理解して素直に事実として認め、変化を積極的に受け入れる姿勢が重要になっています。
ポイント⑥:個の価値ついても考える
今や社内だけで強い人は何も生み出さない。企業が一時的な競争優位性を維持するためには、外のネットワークが重要になってきます。
企業にとって必要な人材は弱い繋がりでも多く外と繋がっている人間です。このような人材は組織を超えて活躍でき、とても役に立ちます。
顕著に変化する現代において、会社に頼らず自分でキャリア戦略を考えてスキルを育てていく発想が必要になってきます。つまり、自律的に行動する人材が光ります。
まとめ
速度が激しい社会は脅威でもあるが、同時に大きなチャンスでもあります。
ポジションを見つければ誰にでもチャンスがあるため、やり方次第で大きく成功をつかめます。
競争優位性が持続しない現代ビジネス界で重要なのは、問題発見力と実験力です。
教訓としてビジネスを盛り上げましょう!
今回紹介した本はこちらです。机に置いておくべき本ですので、是非手に取ってくださいね。
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